『フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展』

国立新美術館で17日まで開催している『フェルメール「牛乳を注ぐ女」とオランダ風俗画展』を見ました。
(またも閉幕ギリギリ)
10時の開館とともに入ったにもかかわらず、もうすでに混雑気味でした。
フェルメールの作品を何点か見られるのかと期待していたら、上記の1点のみでガッカリ。
(何だか上野で見たダ・ヴィンチ展と似ている…)
でもその分、穴があくほどジックリ見てきました。
彼が26歳という若さで描いたというその作品は想像していたよりも小さいサイズでしたが、存在感・空気感は他の作品より秀でていました。
彼の絵は「静謐」という言葉で表現されますが、まさにそんな感じ。
牛乳の流れる音だけが聞こえてきそうな絵でした。
原画は絵の具にラピスラズリなどが使われているせいか、近くで見ると照明でキラキラしてました。
この絵をX線で見ると、遠近法のために使ったピンの跡が見てとれるそうです。
そうまでしながら窓とテーブルの遠近法はズレており、また、白い壁に描いて消したとおぼしき四角い絵画らしきものや洗濯カゴと思われるものがあるところをみても、どうやら見たまんまを描いているわけではなさそうです。
女性の腕にも何度も修正した跡があるそうなので、きっとああでもない、こうでもないと試行錯誤し、構成しなおしながら仕上げていったのでしょう。
確かにリアリティを追求する絵でない限り、作者の都合のいいように描きかえるのは大事なことかもしれません。
他の人の絵にもリアルに描いてると思いきや、デッサンが「?」な部分とかあったので、想像で描いてた部分なのかも。
フェルメールが43年の生涯で描いた作品は40数点(現存するのは30数点)ということで、ひとつひとつにじっくり時間をかけたことがうかがえます。
すぐに結果が見たくて一気に仕上げる私はちょっと反省。
その他のオランダ風俗画は、まさに俗っぽいものから、上品なものまで様々でした。
俗っぽい絵はひとことでいうと、ディズニーランドのカリブの海賊に出てくる町の人々…という雰囲気。
一見俗っぽくない、台所で働く女性を描いただけのような絵にも、腕まくり&酒器を磨く=異性の誘惑 だったりと色々意味があるそうです。
猫=好色 には賛成しかねましたが。

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