『横山大観展』と『ロートレック展』

国立新美術館の『横山大観展』、サントリー美術館の『ロートレック展』へ行きました。
近代日本画の巨匠・横山大観の作品を年代ごとに並べてあり、見応えタップリの内容でした。
東京美術学校(現・東京藝術大学)の卒業制作の完成度の高さに感心していたら、この作品には助教授の推薦がかかっていたと知り、更に驚きました(結局この時は学科の点数が足りなくて助教授にはなれなかったそうですが)。
大観は山水画や人物画、風景画など様々なものを描いていますが、圧巻は長さ40mにもおよぶ絵巻「生々流転」です。1滴の水が大海へと注ぎこみ、最後に龍が天に昇るまでを水墨画で描いています。
木々の1つ1つや、水の流れ、人物や動物など、細部まで丁寧に描かれていて、目で追っていくのがとても楽しい作品でした。
私は個人的にボストンからの里帰り作品群が好きでした。朦朧体というぼんやりした描き方で海や金魚を描いているのですが、当時の日本では批判されていた技法だそうです。斬新なことはいつの世でも中々受け入れられないものなのですね。
大観の作品で素晴らしいなと思ったのは、霧や雨や風の描き方です。濃淡と木の傾きだけでそれらを全て描ききっています。理屈で考えず、実物をスケッチして描くのがいかに大切なのかが分かります。
そして巨匠の彼もやっぱり、尾形光琳などに影響を受けていました。
絵画作品のほか、大観がデザインを手がけた夫人の着物や、仕事道具、愛用の品々も見ることができ、音声ガイドでは大観の歌声も聴けます。
続いて『ロートレック展』へ。
ロートレックは19世紀末のフランスを代表する画家のひとりです。今回は晩年の10年間を中心にした作品が展示されていました。
ロートレックといえば、ポスターの印象しか無かった私ですが、油絵や版画もたくさん描いていました。
彼が描いたのは、快楽の街・モンマルトルに暮らす娼婦や芸人たち。有名なダンス・ホール「ムーラン・ルージュ」も出てきます。
どの人物も実に躍動感に溢れていました。ポーズや構図もすごく良かったです。当時の様子は映像や写真でも見ることができますが、彼の絵の人物のほうがよっぽど生き生きとしていました。
彼も浮世絵の影響を受けている画家の1人だそうです。
今回、茶色い厚紙に油彩やガッシュで描かれたものが多く展示されていましたが、それがなんともカッコよかった。私も厚紙を試してみたいと思いましたが、保存にはまったく向かないものらしいです。
サントリー美術館は東京ミッドタウンの中にあるので、帰りにショップをいくつかのぞいてみました。
さすがデザインのカッコいいものばかり売っていましたが、値段の高さも相当なものだったので目の保養だけして帰りました。
 

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