『東山魁夷展』

昨年展示予告を見てからずっと心待ちにしていた『東山魁夷展』を東京国立近代美術館で見ました。実は今日で2度目。展示期間の長い美術展では前期・後期で作品が何点か入れ代わることがあり、いつもならどちらか一方に行きますが、これだけはどうしても全作品を見たくて2度行きました。
今回も色の美しさ、構図の切り取り方、数々のスケッチや習作を経ての表現力など、すべてにおいて心打たれ、見入り、いつまでもその場にたたずんでいたくなりました。
「絵の強弱は表面に表れるものだけではない」と画家自身言っていますが、分かりやすくてシンプルな絵なのに内面からは強烈なオーラを放っていました。そして絵からは温度や音や時間をも感じられました。近くにいた男性が雪の積もる枝の絵を見て「見てたらなんだか寒くなってきた」と話していましたが、これってスゴいことだと思います。ただ単に雪景色を描いただけではこうはなりません。やはりそこには魂が込められているからこそ、見る者に伝わるのだと思います。
大抵の画家では好きな作品とそうでない作品に分かれる私ですが、この人の作品はどれもとても好きです。
ボリューム的にも見やすく、唐招提寺の襖絵の展示方法(和室の再現)なども大満足の展示でした。
ただ額にガラス入りとそうでないものとがあり、ガラス入りの方に照明が反射して絵が見づらくなっているのが唯一残念な点でした。

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