国立新美術館で『モディリアーニ展』と『エミリー・ウングワレー展』を見ました。
『モディリアーニ展』では人物画の他にも初期の油絵や素描などが展示されていました。
鉛筆で描いた素描は迷いなくノビノビとした線でしたが、何枚も何枚も同じポーズの人物を描いたりしていました。こういった裏方の仕事というか、絵への地道な努力の過程を見るのは好きです。
彼が他の画家やアフリカなどの芸術に影響を受けて作風を試行錯誤していった変遷がよく分かる展示になっていました。彼は最初彫刻家を目指していましたが、体を悪くしたため画業に専念し、その彫刻時代の名残が眼球の描かれていない人物であることなども分かりました。
後年、身近にいる人物を描くようになってあの有名なスタイルが確立されていくわけですが、ただの写実的な肖像画とは違うディフォルメの仕方は対象物への愛情が素直に表れてるためか、わざとらしさや嫌味な感じが全くなく、「いいなぁ~このはずし方」と思わず言ってしまいたくなるものばかりでした。
あんな【はずし方】憧れます。私ももっともっと絵を描こう。
その後『エミリー・ウングワレー展』へ。
彼女はオーストラリアのアボリジニの女性です。長い間儀礼のためのボディ・ペインティングや砂絵、バティック(ろうけつ染)を制作していましたが、80歳を目前にカンヴァス画を描き始め、亡くなるまでの8年の間に3000~4000点もの作品を残したそうです。その膨大な数に驚き、作品の大きさ・力強さ・美しい色彩とその組合せの絶妙さに更に驚かされました。
点や線で構成された絵はただの抽象画ではなく、彼女自身が生きてきたオーストラリアの自然そのものなのでした。鮮やかな色も淡い色もすべてそこに存在する色なのです。確かに見ていくと描く点や線がとても有機的で生命をもった植物そのものに見えてきます。
アボリジニは5万年もの昔からオーストラリアに住み、土地や動植物を神聖なものとして崇敬、共存してきました。大自然の中で地べたにキャンバスを置いて描いている彼女の姿を見ると、自分の生きてきた土地と絵をただただ愛してやまなかったんだな~と思います。その純粋な気持ちがあの素晴らしい絵を生みだしたのでしょう。
私ももっと肩の力を抜いて絵を描こう。
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