DNA

私のイラストは決して底抜けに明るいものではない。
自分では明るめに描いたつもりでも「哀愁がある」と言われたりする。
確かに哀愁や寂寥感の漂うものが好きだ。
絵も人も物も。
それは今までの自分の人生がそうさせるのだと思っていた。
しかし、ふと亡くなった母の事を思い出すと、間違いなく彼女も同じ趣味の人だった。
好きな画家はユトリロ、東山魁夷。
家にはカミーユ・ピサロの『立ち話』の複製画を飾っていた。
ミレーの『落ち穂拾い』や『晩鐘』も好きだと言っていたような気がするし、晩年近くにはカシニョールが好きだった。
どの画家の絵も決して明るいタイプではない。
そう考えると、私の好みはDNAに多分に左右されていたようだ。
自分ではあずかり知らない所で脈々と受け継がれるもの。
血脈。

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