今日は東京国立近代美術館の『ジャクソン・ポロック展』へ。
中途半端な時期の中途半端な時間に行ったのがよかったのか、空いていてゆっくり、じっくり観ることが出来た。
ポロックはポーリング(流し込み)やドリッピング(たらしこみ)、オールオーヴァー(全面に均一に塗る)などの抽象表現で有名。
15歳からアルコールを始め、44歳で飲酒運転による事故死という波乱の人生を送っている。
ポロックもその独自の技法に行き着くまで、様々な技法を試みていた。
私はむしろ、その最も褒め称えられた時期の抽象より、初期に描いた具象や、ネイティブアメリカンやメキシコ壁画に影響されて描いた絵などの方がいいな、と思った。
色遣いや青や黒の太い輪郭線、背景を塗るためではなく形を残すために塗りつぶした表現。どれもカッコよかった。
精神科医に見せたというドローイングもすごく良かったし、モザイクもおもしろかった。
抽象も初期のものや凋落と言われた後期のステイニング(滲み)の方が私は好きだ。特に黒いキャンバスの上に黒いドリッピング。カッコいい!
でもそれらはやはり【オリジナリティ】という意味では弱いのだろう。
ポロック自身、感情の表現方法だと言っていたが、咥えたばこで眉間に皺をよせながら描く姿はちっとも幸せではなさそうだった。
描いて描いて描いて。そしたら新しい表現に行き着いて。
それがものすごく評価され。
でも同じところに留まらず、新たに始めた表現は衰退とまで言われ。
常に周りの評価に戸惑い、苦悩し、過去の栄光と脱却に囚われる。
周りの評価あっての、売れてこその画家であるから、ある程度は仕方ないが、それが画家の道を狭め、苦しめてしまうなら残念だ。
最後に展示されていた2つ、ポロックが気に入ってアトリエに飾っていたという碇(いかり)と、当時の死亡記事がなんだかもの悲しかった。
会場を出たところにポロックのアトリエを再現した展示があった。
(ここは撮影可。)
床はさながら作品だ。
(映像に出ていた、絵具の飛び散った靴も。)
見てたらやっぱりちょっと切なくなった。
外に出たら、皇居のお堀の梅が咲いているのが目に入った。
もう春ですね。
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