『セザンヌ パリとプロヴァンス展』と『エルミタージュ美術館展』

描こうと思っている絵を描く前に気持ちの切り替えがしたい、と思って『セザンヌ パリとプロヴァンス展』と『エルミタージュ美術館展』へ行った。
…とその前に耳鼻科に寄って先週やった血液検査の結果を聞いた。
ほぼ1年中鼻づまり、つまってない時は大概くしゃみに悩まされていたから、てっきりハウスダストが原因かと思っていたら。
ダントツ!の数値を示したのは『スギ』(花期1-4月)であった。(やはり、ここ数年感じてた春のムズムズは…!)
次いで、『カモガヤ』(イネ科の多年草。花期は5-7月)、『ネコ』、『ヒノキ』(花期は3-5月)…。
ハウスダストは見事に陰性であった…。
アレルギーの原因に『ネコ』が含まれていたこともショックであったが、スギ花粉の数値がこんなにも高いことがショック。
なぜかスギだけは無いような気がしていたのだ。何事も思い込みはいけない。
これからは春の時期は特に、そして愛するネコのために、薬を飲み続けよう。
さて、話は戻って『セザンヌ パリとプロヴァンス展』。
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会期終了間近なので混雑しているかと思ったが、そんなことはなく、ゆっくりゆったり見られた。
初めてセザンヌの作品をこんなにたくさん見たけど、非常によかった。好きだった。
セザンヌもご多聞に洩れず、パレットナイフで大胆に描いてみたり、人物画で迷ったり、画材も色々試みたりした末に独自のタッチに行き着いていた。
やっぱり、鍛錬、鍛錬ね。
私は特に彼の色が好きだ。
幾重にも重ねられた優しい色、深みのある色。
暗くなく、明るすぎることもなく、弱すぎず、強すぎない。
独特の短い筆触を連ねるタッチは初期の作品はちょっと目につき過ぎる感じだったけれど、だんだん自然に溶け込んで美しく変化していた。
ボンヤリした、でも何描いてるかちゃんと分かる風景画もよかった。
セザンヌの絵には結構輪郭線が下書きの延長という感じで描かれたりしてて、それも黒や青の強い色を使ってるんだけど、それが違和感なく、画面を引き締めるのにとても役立っていた。
輪郭線なんて現実では絶対存在しないから描くのをためらいがちだけど「こういうのもアリなんだ」と思った。
そうなんだ。絵なんだから、ある意味何でもアリなのだ。
何でもアリで、でも違和感なくて、カッコいい。
やっぱり鍛錬、鍛錬ね。
ここにもアトリエの再現セットがあった。
そこに置かれたセザンヌの描いた屏風がよかった。何だかお茶目な感じのタッチ。
(本人はいたって真面目に描いたのかもしれないが)
そことは別の場所に最後に使っていたパレットも展示されていた。
盛られた白と黒の絵の具が印象的、かつ興味深くて、マジマジと眺めまわしてしまった。
『エルミタージュ美術館展』
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こちらはまだ会期があるので日を改めてまた来ようかと思ったけど、どうせなら一遍に見るか、ということで鑑賞。
「♪あーいをーあなたにー♪」とCMで大々的に宣伝してるせいか、若干人も多め。
音声ガイド(こちらも杏がご案内)にも並ぶほど。
(すさまじきテレビの威力!)
個人的には…まぁ…別に見なくてもよかったかな。
マチスの『赤い部屋』とか、ルーベンスとか、ドラクロワが見れたのはよかったけど、他はほとんどがリアルなタッチで端から端まで全てに力のこもった細かい描写のあまり好きではないタイプの宗教画や宮廷画だった。
でもやはり呼び物のマチスの『赤い部屋』は見ごたえあった。
その横に置かれていた同じくマチスの『少女とチューリップ』もよかった。
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どちらもディフォルメや輪郭の取り方が好きだ。
あと、いいな、と思ったのはモーリス・ドニの『母と子』。
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影の付け方、色が個性的。
ラウル・デュフィの『ドーヴィル港のヨット』のスケッチみたいなラフな線もいい。
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(でもちゃんとモチーフに合わせて色変えてたり)
アルベール・マルケ『アンリ4世記念碑とセーヌ河風景』。
(ポストカードが売って無かったので画像なし)
あまり陰影や光の白を強調してないのに、明るい日差しを感じるところ。
この3人の他の作品も見てみたい。
セザンヌ、行ってよかった。
マチスも見れてよかった。
また新たな気持ちで絵と向き合えそうだ。

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