何だか最近は美術展の感想ばかり書いていますが、美術展は自分が絵を描く上での凝り固まった観念をほぐしてくれ、息抜きや発奮材になるので、ついつい足を運んでしまいます。
先日そごう美術館『長新太展』と東京都現代美術館『男鹿和雄展』を見ました。
長新太さんは、絵本作家であり、漫画家です。代表作として、「おしゃべりなたまごやき」「キャベツくん」なんかがあります。今回は絵本の原画だけでなく、漫画や線画なども展示されていたので、今まで見たことがない作品をたくさん見ることが出来ました。時代によって画風の変化はあるものの、ユーモアとナンセンスがどの作品にも見られ、魅力的でした。
その発想や展開の奇抜さ・独創的な画風などは、生まれ持ったものだけでなく、長さん自身の生き方が多分に影響しているのだと思います。
私ももっと色んなことに興味をもち、それを吸収し、魅力的な人間となって魅力的な絵を描く人になりたいと思いました。
男鹿和雄さんはスタジオジブリの「となりのトトロ」、「もののけ姫」などの映画で美術監督を務め、背景画を描いた方です。
ジブリ作品を見るとき、背景画を見ていつもそのリアリティさ、見るものを引き込む力の強さを感じていたので、是非見てみたいと思っていました。
7月21日からの開催だったのですが、夏休み期間は混むだろうし、駅からの距離が長いので酷暑続きの8月には行く気が起きず、もう空いてるだろうと思って行ったのですが、予想外にとても混んでいました。そういや、大学生はまだ夏休みだったのですね。でも今までその美術館で見た展示はいつも人が少なかったので、ちょっと驚きました。ジブリ人気、恐るべし。
人垣の合間をぬっての鑑賞だったので、それぞれをじっくり見ることは中々出来ませんでしたが、背景画は近くで見るとただ写実的なだけではなく、筆のタッチを大胆に残している部分と細かく描き込んだ部分の両方があり、色も実物より鮮やかでした。これらがアニメーションの中で、よりリアルさを出し、かつ、見るものに窮屈さを与えない要素になっているのだと思いました。
途中、パネルとビデオで制作過程を見られるところがあるのですが、写真をそのまま絵にしているのかと思いきや、ほとんど自分の記憶だけで木や岩の形を描き構成しているので驚きました。
そこまで至るには、観察眼の鋭さもさることながら、膨大な量のスケッチをこなしてきたんだろうと思います。まさに絵職人という感じ。
私なんて木も花も写真や実物を見ないとヘンテコな形になりがちだし、構成も自分で撮った写真通りに描かないと上手く描けないので、もっと色んなものを観察&スケッチしなければいけないわ…!と思いました。
2つの美術展は全く違った趣でしたが、どちらもプロフェッショナルの仕事というものを学べました。
偶然、どちらの展示にも作家の作業机がそのまま再現されていたのですが、それがその人自身を1番よく表しているような気がして、とても興味深いものでした。
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